合同企業説明でよく受ける質問と誤解が、タクシードライバーの仕事時間と給料に関することです。

一番の誤解は「24時間、しかも毎日働いてるんですよね?」というもの。常識的に考えればわかることなのですが、それでは死んでしまいますので、そんな働き方が認められている職業は日本にはありません。24時間勤務の職業はありますが、タクシーは違います。もっと短く、実は休みの多い仕事です。

またタクシードライバーの全国平均所得が低いため収入面のイメージが良くないのですが、それも誤解です。極端に低い人や地域が平均を下に引っ張っているのが現実で、まじめにコツコツ仕事をすれば世のサラリーマンとなんら変わらない生活を送れます。しかも休みが多いのです。

タクシードライバーの業務

タクシーには、車を運転して人を輸送するだけでなく、安全かつ快適にお客様をお送りする「サービス業」という一面もあります。
したがって、当社の乗務員は「サービス業の営業職」という心構えで仕事をしています。
さて、車を運転してお客様を目的地までお送りする他に、どんな業務があるのでしょうか。

一日の流れの概要

▼出社
▼車両の日常点検、点呼
▼出庫
★午前中は主に通勤・通院・通学にご利用されるお客様が多く、「アプリ配車」「無線配車」がメインです。
★午後はビジネス利用・通院・お買い物などにご利用されるお客様が多く「アプリ配車」「無線配車」「待機営業」「流し営業」の 組み合わせで営業します。
★夕方は再び「アプリ配車」「無線配車」が多くなります。
★夜から深夜は飲食された方などを中心に客単価が上がり、「流し営業」がメインとなります。
※休憩は、各自が好きな時間帯に取ります。
▼帰庫
▼点呼・車両清掃と日報提出・納金
▼終業・帰宅

写真で見る一日の流れ

詳しく見ていきましょう

車の点検・乗務前点呼

出勤したら、出庫の前に車の日常点検をして、運行の安全を確保するため運行管理者の点呼を受けます。乗務前点呼とは、簡単にいうと、酒気帯び有無の確認、健康状態の確認、睡眠不足の有無の確認、免許証の確認、日常点検実施状況の確認です。

出庫したら、いざ営業

出庫したら、休憩時間を除き上司や同僚と会うことは基本的にありません。時間をどのように使いどう仕事をこなすかは自分次第です。

タクシーの営業は基本的に次のとおりです。
①テレハイ(電話での受注)

②アプリ配車

③待機営業
④流し営業

会社により①~④の割合は様々です。
①はお客様からの電話依頼をもとに配車センターが乗務員へ手配する仕事

②はUber,DiDi,GOなど配車アプリを利用した仕事
③はホテル、得意先企業、病院などの待機場所でお客様を待つ仕事
④は手を上げるお客様を乗務員自らが走行しながら見つける仕事

タクシードライバーの稼ぎは、営業回数を何回こなすかによります。「無線配車の回数は大体これくらい」といった実績が各社ありますので、その回数をベースにして、腕とやる気でどれくらい流し営業回数を上乗せできるかが、重要になります。

カープタクシーの配車は公平

カープタクシーでは平成28年に配車システムを半自動化しており、年功・縁故・人間関係を一切考慮せず、最適な位置の車両を自動で選び配車しますので、初めてタクシードライバーをするという方にも分け隔てはありません。

食事・休憩

配車指示と待機ルールを除けば時間の使い方は自由ですので、休憩をどこでどれくらい取るかはドライバー自身の裁量に任されます。なお、カープタクシーでは2~3時間の休憩を断続的に取ります(隔日勤務の場合)。

乗務後点呼・清掃

帰庫したら、乗務前と同じように運行管理者の点呼を受けます。乗務後点呼とは、簡単にいうと、車両の状態・道路・運行状況の報告、酒気帯びの有無の確認です。その後、車両の清掃をします。会社によっては毎回帰庫後は水で流して洗車、というところもあります。カープタクシーでは1週間に1回ワックスをかけますので、毎日は毛ばたきがけと水拭きで済み、毎乗務後の水洗車は求めていません。

日報完成・納金

最後に売上を確認して日報を完成させたら、納金機への入金と日報の提出をします。(※自動日報)

タクシーはいつ休む?

24時間勤務?

就職説明会で、タクシードライバーは24間勤務なんですか?と、けっこう質問されます。
街中いつでもどこでもタクシーを見かけるせいかもしれませんね。

世の中には24時間勤務の職業があります。
例えば、交番勤務の警察官・消防士・駅員。
1回で3日分働き、翌日は明け番、翌々日は休日、という働き方です。

安全を最優先

自動車の運転を生業とするタクシー業界は、安全を優先する考えから、上記の職業のような「超」長時間労働にはならないよう、労務管理することが求められています。

では、いつ働いて、いつ休むのでしょうか?

選べる勤務 大きく分けて3つ

隔日勤務(かっきん)

広島ではこれがポピュラー

勤務のタイプはタクシー会社により様々ですが、広島交通圏では1回の勤務で2日分の仕事をする勤務が一般的です。
カープタクシーの場合、18時間拘束15時間労働を基本としています。
体が慣れれば、オンとオフのメリハリがあって時間が使いやすい勤務の仕方ですので、これが魅力でタクシードライバーに転職した、という人も多くいます。

カレンダーのイメージ

当社の隔日勤務は月12日出勤がベースになっています。

加えて、上のカレンダーでは14日と29日が法定外休日となっており、公休出勤をすることができます。

歩合給ですので、当然多く出たほうが給料も増えます。

2日分働いた後は?

隔日勤務の場合、1回の勤務で2日分働きますので、勤務翌日は休養をしっかり取るための明け番日になります。
明け番日は昼まで睡眠という方が多く、起きてから次の勤務のために就寝する21時くらいまでは、家族と過ごす時間・子供が小さい間は子供と過ごす時間・子供が巣立った家庭では自分の時間 など、日中から夜にかけて自由に使える時間が、2日に1回ずつ確保できます。

休日は?

上記の「出勤~明け番」のリズムを3回繰り返すと、2~3連休が待っています。
タクシーの場合、消防士のように明け番日に緊急出動を求められることはありませんので、明け番日も休日と同じようなものです。
つまり、月に12回の勤務の場合、約18回の明け番日&休日で、かつ、週に1回は2~3連休がとれます。

夜日勤(よるにっきん)

ウィークデーの夕方から翌朝まで勤務

一般的な会社員と比較するとウィークデーは昼夜が逆転します。
無線の指示を受ける迎車や待機場所での客待ち営業の機会は少なく、流し営業が中心です。
距離の長い仕事が多い時間帯や割増運賃の時間帯を主な舞台として仕事をするため、腕次第で最も収入が多くなる勤務形態です。

日勤(にっきん)

ウィークデーの朝から夕方まで勤務

一般的な会社員と同じようなスケジュールです。
当社では基本的に、日曜日は休み、土曜日は出勤しても良い休み、としています。
日勤は、朝・夕方のそれぞれ利用客が多い時間帯と重なりにくく、夜間の営業をしないため、収入はあまり高くならない勤務形態です。
稼ぎは他の2つの勤務形態と比較すると平均的に劣りますが、長い拘束時間や昼夜逆転のない勤務形態です。

タクシードライバーの給料

実力主義

給与は歩合制

広島のほとんどのタクシー会社は、ドライバーの給与に歩合制を採用しています。
つまり、稼いだ売上に比例した給与を得る実力主義(※)です。

※)県の定める最低賃金を保障するため、当社では時給を最低保障額としています。

当社は賞与も歩合制

タクシー会社のほとんどが給与に歩合制を採用しています。
他方、賞与については、人事評価による会社、会社業績連動制を採用している会社、その組み合わせにする会社など様々です。
こういった賞与では「やった分だけ収入アップ」と謳い、給与はその通りであるものの、賞与で仕事量に比例しない逆転現象が生じ、不公平感が生まれるおそれがあります。
この点、当社は賞与も歩合制で完全な実力主義を採用していますので、年功に関係なく新人でもベテランと同じ土俵で勝負できます。

透明で公平

収入が自分の働きとリンクしますので、上司や人事部による不透明な評価や年功、会社全体の成績という他力とは無縁です。
また、お客様からの電話依頼による配車については、最適な位置にいる車両を自動で選ぶ半自動式としています。
これにより、無線係による人的で恣意的な配車を排除できますので、年功・縁故・人間関係などに左右されない、公平な仕事の配分が理論上可能となります。
これからタクシードライバーを始めようという方にとってみれば、自分の意思と腕次第でベテランを追い抜くことも可能です。

ノルマは?

ノルマはありません。自分で仕事量を調節できます。ただし実力主義ですので、自ら仕事量を抑えればそれだけ収入は減ります。

「売上×歩率」が時給を下回る場合、最低保障が適用されます。

といっても、心配しないでください。
最低保障にひっかかる人はほとんどいません。

では、実際いくら稼げるのでしょうか?

新人の実績

まじめに取り組めば、最初からこれくらい可能な環境を当社は提供します。


※ ㈲カープタクシーの実績です。

給与明細からではなく、運収(売上)から計算しましたので、実際額と若干の誤差がありますが、概ねこれくらいです。

では、広島という地域でカープタクシーで働けば最高でどれくらいの年収になるのでしょうか。

トップ10の実績


※令和4年度実績  ※カープタクシーグループ全体のランキングです

多くを語る必要はないでしょう。

格差の原因

タクシードライバーは、同じ内容の仕事をしながら同業者間での収入格差が大きい業界です。
その原因は多岐に渡りますが、大きい原因として次のようなものがあげられます。

ロケーション

一口にタクシー業界といっても、東京などの大都市、過疎地、地方の小規模都市、広島のような中規模都市で仕事の量や仕事の内訳、勤務の仕方が異なります。
当然東京の平均年収が高く、過疎地の平均年収が低いわけですが、広島という都市はタクシーにとってちょうど良いサイズの町で、仕事の種類も豊富です。また、広島には都市の規模以外にも、地下鉄がない、洲が橋でつながっている地形で電車のルートが限られる、中心部に鉄道がない、郊外にベッドタウンが多数ある、そこそこの規模の繁華街・歓楽街がある、プロ野球チームがある、といった環境があり、タクシーの活きる場面が多い町という特徴があります。

ブランド・固定客・常連客

タクシードライバーの営業方法は大きく分けて「配車」「待機」「流し」「アプリ」の4種類です。
このうち、与えられる仕事である「配車」「待機」「アプリ」が土台となり、まずこの量で売上のベースが変わってきます。
タクシー会社によってここに差が生まれます。
当社は、この部分に自信があり、相応の実績を得ています。

ドライバー自身の意識

法人タクシーのドライバーとして成功するには、仕事量や営業ノウハウの蓄積が当然必要ですが、なによりも、能動性・自律性・誠実性・協調性・全体最適の理解、などの素養が必要です。といっても何も難しいことではありません。「あたりまえ」のことを「あたりまえ」にしようという意識があれば、なんの問題もありません。

業界平均の情報としての欠陥

平均の「内容」が語られない

前項のとおり、この業界は同じ資格を持ち同じ内容の仕事をしても格差が生じ、収入の低い小規模都市や過疎地のドライバー人口が多いため、平均年収が低く算定されます。また、以下の項目のとおりドライバーの平均年齢の高齢化が進んでいることも、平均年収が低く算定される原因になっています。

高齢化した理由

誤った業界イメージが若い人材の確保の妨げになっているため、業界全体として人材不足の傾向にあり、定年退職後の再就職先として簡単に就業可能な業界になっています。こうして、この業界は高齢化していきました。さらに、70歳を過ぎている場合、時間短縮の定時制社員として雇用せざるを得ないのですが、タクシードライバーは「時間⇒走行⇒売上⇒収入」という世界ですので、労働時間の短い定時制社員の増加が一人当たり収入の平均値の低下要因となっています。

これからドライバーになる若い人は

バリバリの現役で働ける人の当社における平均的収入は先のスライドのとおりです。一般的な会社員の新卒初任給は月給20万円前後ですので、年収300万円に届かないのではないでしょうか。その後の出世は本人と会社次第です。これに対し、当社では最初から400万円台を稼げる可能性があり、腕と努力次第でそれ以上も望めます。仮に年収400万円台から上がらなかったとしても、これを40年以上継続すれば一般的な会社員と比較しても遜色のない生涯所得になり得ます。

要するに、タクシーだからといって特別なわけではなく、普通にやっていれば普通に稼げて普通に生活できます。そのうえで、人事や上司の評価による出世に左右されず、自分次第で高所得も可能、ということです。もちろん、低所得に陥るのも自分次第です。

職業の社会的位置づけ

「線」ではなく「面」

同じ旅客に携わる運送事業でも、決まった時刻に決まった路線を運行する鉄道・電車・バスがいわば点と点を結ぶ「線」の旅客であるのに対し、タクシーはそれらでは対処できない広い「面」を担う旅客として世の中に必要不可欠な交通機関です。

言い換えると、鉄道・電車・バスは駅や停留所で乗降しなければならず、最終目的地までの移動手段にはなり得ない不便さが伴うのに対し、希望の地点から希望の地点まで利用できる利便性という点で、タクシーは世の中に必要不可欠な交通機関です。

これが、タクシーの公共性です。

ちょっと贅沢な移動手段

さらに、個室で移動できる快適性を備えるという点で、「線」の旅客でカバーできない「面」を担う必需品にとどまらない、嗜好品としての性格も持ちます。

また、個別の輸送を行うことから、タクシードライバーは他の旅客運転手と比較してお客様と接する機会が多くなります。一期一会の応接を楽しめる人には向いている職業です。

専門家集団

このような特色を持つタクシーのドライバーは、公共交通機関の運転を生業とする職業の中でも、高い専門性を持つプロフェッショナルであるといえますが、残念ながら、そういった意識を持てないタクシー事業者とドライバーが少なからずいることが、業界のレベルとイメージを下げているのが現状です。

新しく創る

しかし、少なくとも当社は、タクシードライバーの正しい位置づけとイメージを発信できる会社でありたいと考えています。そのためには、ドライバーの一人ひとりがプライドを持って仕事をしなければなりませんし、プライドの裏付けとしてプロ意識を持って仕事をすることが必要です。
これからタクシードライバーを始めようという方には、古い業界人の悪しき慣習や誤ったイメージに縛られず、正しく新しいタクシードライバー像を創り出せる人であることを期待します。