「ホームページに書いてあること100%を鵜呑みにはしませんよ」
廿日市カープタクシーの乗務員、野木謙二さん(54歳)は、当サイト「カープタクシー採用情報」の前身である当社コーポレートサイトの求人ページを見て応募した、実質的に一人目の社員だ。
野木さんは、技術営業職として長く勤めた会社を退職した後、軽貨物の会社で介護タクシー事業の進出に関わった。認可の申請など事業立ち上げからすべて行い、その一環で二種免許を取得した。その後のキャリアに、二種免許を活かして長く働ける職業としてタクシードライバーを選択したのは自然な流れだった。
奥様に相談なくタクシードライバーへの転職を決めたため、当初の反応は「えっ?」というものだったそうだが、今は納得されている。
「結局、なんぼ持って帰るかですよ。普通にやって収入がいい。この仕事は、やった分だけ給料に跳ね返るし、非番って言っても休みと一緒なんで、休みが多い感覚です。健康を保って長く働こうと思います」
野木さんは入社3か月の新人だが、すでに月間60万円の売上を達成した。これからの目標は月間70万円だ。
野木さんが求人に応募する直前まで、当社ホームページの採用情報は休眠状態で、手始めに「先輩社員からのメッセージ」の掲載と、募集要項への会社アピールを加筆した矢先の応募であったため、その感想はどんなものか、新人研修中の野木さんに質問した際の手厳しい回答が冒頭の言葉だった。
ネット上にタクシー会社の求人情報は数あれど、100%鵜呑みにはしない。
さもありなん、タクシー会社のホームページの求人情報は大概が良いことしか書いていないからである。まるで、なんでも叶う夢の職場であるかのごとき宣伝も見受けられる。無論、そのような理想郷ではない。
かく言う当社コーポレートサイトも野木さんが見た時点では、良い職場であることをアピールしたい一心で、良いことを選別して書いていた。その後、採用情報をコーポレートサイトから分離し、当サイト「カープタクシー採用情報」を開設するに至るが、当サイトでは良い話だけでなく、仕事に向き不向きがあることや給与格差が生じる仕組みなど、ネガティブな情報も開示するよう努めている。
話を戻そう。
3か月勤務し、野木さんは月間売上60万円を達成した。今後の目標は70万円だ。
「廿日市は無線中心で仕事になるんで、難しいことではないです」
すぐに実績を出すなんて、すごいですね!という振りに、野木さんはそう答える。
無線配車と待機営業以外の仕事、つまり、流し営業の結果で売上は大きく変わる。
これがタクシードライバーの給与格差の元だが、機会は平等だ。
意欲とスキル、そして、向き不向きが作用する。
「教育期間中、市内を流す先輩の車に同乗したときですが、信号が赤に変わるかどうか微妙な時でも、サーっと行かずにスピードを緩めてわざと赤に引っかかって、お客様からタクシーが見える機会を増やす、とか。これひとつ取ってもテクニックで、勉強になりました。他にも奥の深いテクニックはあると思いますんで、これからも先輩から学んでいこうと思います。今度先輩と飲みに行く約束をしています」
すぐに成果が出た秘訣は、野木さん自身が無線配車を誠実にこなしていることと、流し営業のコツや目標設定のノウハウなどを先輩ドライバーが親身に教えてくれ、野木さんに学ぶ姿勢と実践する意欲があったからだろう。
「仕事をしていて嬉しいのは、やっぱり『ありがとう』と言われた時です」
お客様が泥酔状態で前後不覚のため正確な目的地をつかめず、てこずったりと、そんな苦労もあったが、前向きに仕事に取り組みスタートダッシュを決めた。
入社から3か月が経過し、野木さんの感想は変わったようだ。
「ホームページに書いてあったとおりの職場だと思いますよ」